今年の夏、たまたま本屋で手に取った深夜特急の新装版。
最終巻を読み終えたのでインプレッションを書き残しておきます。
香港から始まったユーラシア大陸横断の旅もようやく終わりを迎えた。
東南アジア、インド、ネパール、中東、トルコ、地中海、そしてヨーロッパの西の端へ。
読み終えて心地良い疲労感を覚えた、沢木耕太郎と共に、読者である自分もまた空想の旅をしていたのだ。
深夜特急は倹約の旅で、日本円でホテルは数百円、食事も数十円で済ませるというストイックなものだった。
そのかわり明日の事を考えなくても良い”自由”を手に入れた、観光とは違う、いわゆるバックパッカーの旅。
社会人の休みは盆正月でも1週間しかないことを考えると、海外旅行はハードルが高い。
何故なら、行きの日程と同時に帰りの日程も押さえておかなければならないからだ。
当然、宿泊施設や行く先なども事細かく調べて予定を組んでおく必要がある。
だからこそ、帰りの便を考えない、無計画で無謀な彷徨の旅に強烈に惹きつけられる。
頭では分かっている、全てを捨ててドロップアウトしない限り、そんなことは夢物語なのだと。
学生時代に多少無理をしてでも海外に行っておくべきだったとつくづく思う。
コロナ禍が収束して人の移動規制が緩和される日が来たら、いつかアジアを旅してみたい。