告解

現在、わが家では大事件が起こっている。

うちの妹が結婚を決意して、相手の方が次の日曜日に挨拶に来るという。

一昨年だったか、妹はお見合いをしたのだけど、結局その話はまとまらなかった。
その後も地道に婚活していたのは知っていたが、面と向かってその話をすることはなかった。
妹も適齢期を過ぎ、もう結婚はしないのだろう、と何処かで思っていた。

挨拶に来るという相手を、兄としてどう迎えれば良いのか、対応を思いあぐねている。
お互いの両親に挨拶するという流れの中で、兄弟が同席する必要もないような気はする。
はっきり言って、何を話せば良いのか全く分からない、緊張して頭が真っ白になりそうだ。

相手方はもっと緊張しているだろう、何せ、人生を左右する重大イベントなのだから。

「娘さんをください。」

今時こんな古風なことは言わないと思うが、かつて自分もこの構図の当事者だったことがある。



あれは当時、たしか社会人2年目だった。

大学時代から交際していた女性との間に子どもを授かった。
順序が逆になってしまったが、覚悟を決めて、彼女のご両親に菓子折りを持って挨拶に伺った。
既にお互いの実家に泊まり合うくらい良好な関係だったので、楽観的に考えていた。

彼女のお父さんの答えはYesでもNoでもなかった。

「結婚自体は反対しないが、今はまだその時期ではない。」

つまり保留である、なし崩しで押し通せると考えていた私は混乱してうろたえた。

しかし、あろうことか、内心ホッとしている自分もいた。
彼女とお腹の子ども、2人の人生の責任を背負いきれるのか、とてつもないプレッシャーだった。
彼女のことは愛していたが、モラトリアム宣告によって、その重圧から解放された。

心の中に張り詰めていた糸がプツリと音を立てて切れた。



妹の結婚に関しては、よほどのことがない限り家族内で認められることになるだろう。
いい大人の決断なので、周りが口を挟むことではない、妹がどんな男を連れてくるのか楽しみでもある。
同時に心配で寂しくもある、家族が一人出ていくのだから、それは当然の気持ちだ。

うちの妹は少しガサツで声がデカいことに目をつむれば、なかなかの美人だ。
兄らしい気の利いたことは言えないが、幸せになってほしいと心から願う。

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Author: 煙人

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